彷徨う者

あるじ殿、気にかけていただき感謝する。しかし、今は不要で候。
それがしは、満腹であるからして……
あるじ殿、勘弁いただきたく候。
あるじ殿の戦い、しかとこの目で見届けさせていただきたく候。
あるじ殿は体を動かすことだ。それがしのようになるのはまだ早い。
おのれ！　貴様ら、それがしのあるじ殿に何をするか!!
あるじ殿おおお!!!!
おお……おお！　あるじ殿……!!
あるじ殿！　それがしは、それがしはあるじ殿の帰還をお待ち申し上げるで候!!
あるじ殿と過ごす日々はそれがしの宝で候。
どれほど過酷な場所であろうとも、それがしはあるじ殿についていく所存で候。
どのような姿になろうとも、それがしはそれがしで。
生き生きとしたあるじ殿を見ていると、昔年のそれがしを思い出すので候。
ううむ、郷愁にかられてしまったか……情けない。
何をしても戻らぬ日々。できる時に動くことだ。
それがしはまったく果報者よ。
おお！　こんなところに穴が！　うむ、繕わねば。
あるじ殿！　お帰りをお待ち申し上げましたぞ!!
あるじ殿、よくぞご無事で。
さすがはあるじ殿！　それがしの誉れで候！
うう……それがしの空洞なまなこから、涙が……！　それがしはうれしいのだ！
それがしの芸があるじ殿の慰めになるならば、幾度でも。
それがしの刀の錆びにしてくれようぞ！
それがしの昔日の姿、しかとその目に焼き付けよ！
きええいッ!!
うむ、よい手本になったか。
たまには道化もよいものだ。
かような技でよければ幾度でも。

うむ、いただこう。
かたじけぬ。
食べられる時に食べよということだな。
さすがはあるじ殿。ほれぼれする動きで候。
あるじ殿、技を磨かれよ。
あるじ殿！　撤退するも勇気で候!!
あるじ殿！　生きて！　生きてくだされ!!
生きよあるじ殿！　ここで倒れるなど許さぬで候!!
あるじ殿がそれがしと同じ骨になるなど認めぬ！　認めぬで候!!
うむ、今日はよき日になりそうな……
あるじ殿と共にいること、それが、それがしにとっての褒美であるのだ。
あるじ殿、愚かさえも糧となされよ。
ざんばら髪だが、大事にしたいものよ。
節約も散財もどちらもおおいに結構ですぞ、あるじ殿。しかし、日々の糧は忘れぬよう。
あるじ殿、よくお戻りになられた。
さあ、共に駆けましょうぞ。
あるじ殿が立派で、それがしは鼻が高いで候。
今日はめでたき日で候！
それがしの昔日の姿、しかとその目に焼き付けよ！
かあっ!!
それがしの芸があるじ殿の慰めになるならば、幾度でも。
これを見、驚くなかれよ。あるじ殿。
かような技でよければ幾度でも。
あるじ殿の期待に応えられたで候か。
はあぁ!!

うむ、なかなかのドクロで候！
いつもいつもかたじけぬ。それがしは果報者よ。
あるじ殿との食事は楽しいで候。
あるじ殿、見事なり！
あるじ殿の働き、誰が見ずとも、それがしは見ておりますぞ。
あるじ殿、無理は禁物。お逃げなされ。
あるじ殿、苦言を申し上げる。今は撤退の時で候！
それがしは情けぬで候！
あるじ殿、しっかりするで候！
あるじ殿！　それがしはどこまでもついていくで候。
うむ、今日の気候は刀の手入れをするに良き日で候。
おお……すまぬあるじ殿。下駄の緒を直したいで候。
それがしの剣技は、いまだ錆びついてはおらぬぞ。
それがしは、朽ちぬものを愛でようとは思わぬ。
あるじ殿、今日はどこへ行かれましょう？
あるじ殿、よくお戻りになられた。
うむ、流石はそれがしのあるじ殿！
あるじ殿はどこまで強くなられるのか！
それがしの技、しかと！
きええいッ!!
あるじ殿、櫛はお持ちか。
あるじ殿が望むなら、何度でも。
ははは、お戯れをあるじ殿。
この技を披露するには、良き日よ。
やれやれ、朽ちかけたこの身には堪えるわ。

うむ、見事なドクロで候！
いつもいつもかたじけぬ。それがしは果報者よ。
あるじ殿、いただくぞ！
あるじ殿、この戦が終わったら腹ごしらえと行こうぞ。
あるじ殿、少し疲れたようで候。
あるじ殿、撤退を進言するで候！
あるじ殿、背後に気を付けるで候！
あるじ殿……戻って、食事にしようぞ。
あるじ殿、精進が足らぬで候！
少々、畳の上が恋しいで候……
この身に肉がついていた頃から、もう随分と時が過ぎたで候……
ううむ、歯磨きは必要であろうか……
何もせぬ時間もまた良いものだ。
そろそろ腹が鳴る頃合いで候。
あるじ殿、よくぞ戻られた。
あるじ殿、出かけるならば腹ごしらえをしてからにしようぞ。
あるじ殿、見事なり。
あるじ殿の勢いは留まることを知らぬ！
はあぁ!!
かあっ!!
ううむ、少々鈍っているようだ……
まったく、あるじ殿には振り回されてばかりで候。
ははは、まったく仕方のないお人よ！
いやはや、骨の節々にひびく……
勘弁してくれ、あるじ殿。激しい動きはこの身に堪える。

あるじ殿に忘れられたかと危惧したわ。杞憂であったようだがな。
それがしは骨であるが、腹は空くので候。
……ようやっと気づいていただけたか。あるじ殿。
あるじ殿。そんなに動かれても、何も食べずにいるならば身につかぬで候。
あるじ殿はとても元気で候……
それがし、あるじ殿は危険であると見受けたが！
あるじ殿は一体、何をしたいのか！
あるじ殿……それがしを置いていかれる算段か。
苦言を申し上げる……空腹では倒れる、わかりきったことで候。
あるじ殿、もしや絶食に挑戦する算段か。それがしは付き合えませぬぞ？
あるじ殿はこの言葉を知らぬか。腹が減っては戦はできぬで候。
それがしのなかぬ腹が、なきそうで候……
もしや、それがしの食事が手にはいらぬので？
あるじ殿……主人の務めを果たすで候。
あるじ殿、息災か。それがしは腹がへって動けぬ……
あるじ殿、早速出かけられるか？しかし、先に食事をお願い候ぞ。
さすがはあるじ殿。では、それがしにも褒美を……
あるじ殿、見事なり。しかし、次へ行く前に食事をとるべきと思うが、どうか。
いやはや……これは疲れるので候。
褒美をいただけるか、あるじ殿。高くは望まぬ、食事をいただきたく候。
ふう……仕方のないお人だ。
それがし、あるじ殿に振り回されてばかりで候。
それがし、道化ではないぞ。
……あるじ殿はものの道理がわからぬか。
あるじ殿よ……